Fビル / 1999年 / ひろしま街づくりデザイン賞

外観は単純明快な直方体で、ファサードもシンメトリーというシンプルさ。側面のエッジ型のガラスでアクセントをつけながらも、多くをコンクリートの外壁が内部を覆っている。さらに外壁は白色のペイント仕上げ。(中略)しかし、ファサード中央のエントランス階段を上がり、2階へ着くと状況は一変する。外観からはわからなかったが、屋上をすりばち状にくり抜く形で、建物内部に円形の池が設置されている。一見してこの池がシンボライズされた存在であることに気づく。ある種ストイックで無機質にも見える外観のキューブ(箱)に囲まれた水をたたえる池は、キューブとは究極的に対比する要素であり、有機体が持つ両性具有を意味している。外部を拒絶するような外観を有しながら、エントランス階段を駆け上がると、内部では水面に太陽の光を反射する池が、安らぎをあたえてくれる。(松永英己氏評)

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